様々なバンドに所属し
今やオジーの専属ギタリストになった
ギター・ヒーローのガス・Gが
これ一本でやっていくと決めたバンドが
このFIREWINDである。
ギリシャ出身でザクザクしたサウンドが
いかにもメタルですって感じで好きなのだが
テクニックだけでなくメロディのセンスも良いのが
聴くものを惹きつける要因だろう。
パワフルなハイトーン・ヴォーカルと
過度になりすぎないキーボードの
典型的な正統派メタル・バンドである。
(l. to r.)
Bob Katsionis(ボブ・カティオニス)<key>
Petros Christo(ペトロス・クリスト)<b>
Jo Nunez(ジョー・ヌネズ)<ds>
Henning Basse(ヘニング・バッセ)<vo>
Gus G. (ガス・G)<g>
2003年 2nd BURNING EARTH
1. Steal Them Blind
2. I Am The Anger
3. Immortal Lives Young
4. Burning Earth
5. The Fire And The Fury
6. You Have Survived
7. Brother’s Keeper
8. Waiting Still
9. The Longest Day
BONUS TRACK
10. Still The Winds
初期の頃はメンバー・チェンジが絶えなかった。
ベースが現在もいるペトロス・クリストに
ドラムがPAGAN’S MINDのスティアン・クリストファセンにチェンジ。
1stと2ndはリアル・タイムで聴いていたわけではない。
1stは再リリースされたからまだしも
2ndは最近安く手に入れたばかり。
暑苦しいヴォーカルは変わらないが
前作の方が印象に残ったような気がする。
よって二桁も回数を聴いていないので
それではレビューを書くのに申し訳ないと思い
書きながら聴いているのだが
やはりリフもメロディも大味というか
全然印象に残らないので面白みがない。
サウンドは紛れもなくガス・Gだし
The Fire And The Furyの印象的なソロはあるのだが
これでは他バンドでガス自身の知名度が上がったものの
それをこのバンドで逆転させることはできなかっただろう。
2005年 3rd FORGED BY FIRE
1. Kill To Live
2. Beware The Beast
3. Tyranny
4. The Forgotten Memory
5. Hate World Hero
6. Escape From Tomorrow
7. Feast Of The Savages
8. Burn In Hell
9. Perished In Flames
10. Land Of Eternity
BONUS TRACK
11. I Confide
今度はヴォーカルがスリランカ出身だという
チティ・ソマパラにチェンジ。
そして専任キーボードに現在もいるボブ・カティオニスが加入。
レーベルも移籍した本作からやっと
野暮ったさが抜けたというか
ギターもヴォーカルもキャッチーになったので
聴きやすくなった。
やはり人の印象に残るのはメロディだろう。
それにはやはりヴォーカルの声質によるところが大きい。
前任者のような暑苦しさは多少あるが
ヘヴィな曲とメロウな曲とで
うまく使い分けている。
その特性を生かしたガスのソング・ライティングも見事で
これならリスナーの期待に応えられるだろう。
2006年 4th ALLEGIANCE
1. Allegiance
2. Insanity
3. Falling To Pieces
4. Ready To Strike
5. Breaking The Silence
6. Deliverance
7. Till The End Of Time
8. Dreamchaser
9. Before The Storm
10. The Essence
11. Where Do We Go Form Here?
BONUS TRACKS FOR JAPAN
12. Healing Tool
13. Demon Nights
掛け持ちしていたバンドを全て辞めて
このバンドだけで勝負しようと決めた渾身作。
またもヴォーカルが以降定着する
ギリシャ人のアポロ・パパサナシオにチェンジ。
ドラムもHELLOWEENいたこともあるマーク・クロスにチェンジした。
決意しただけあって洗練された一枚で
やっとテクニカルなギターに曲の良さが追いついた。
これで知名度に恥じない一発を放ったということで
一級バンドの仲間入りだ。
個人的にアポロの声は大好きで
前任者たちとは違う正統派にぴったりの声質。
でも一撃必殺的な曲は見つからないので
まだまだ進化することに期待したい。
2008年 5th THE PREMONITION
1. Into The Fire
2. Head Up High
3. Mercenary Man
4. Angels Forgive Me
5. Remembered
6. My Loneliness
7. Circle Of Life
8. The Silent Code
9. Maniac
10. Life Foreclosed
BONUS TRACKS FOR JAPAN
11. Ride To The Rainbow’s End
12. Spirits In A Digital World
13. Mercenary Man (ACOUSTIC VERSION)
前作では母国で成功を収め
ギリシャのバンドといえばFIREWINDと思いつくくらい
各国で注目され始めた。
そこでさらに磨きを増した本作。
実際私も一番聴き込んだアルバムで
どれもフックがありメロディも過去最高。
また80年代メタルからの影響も顕著で
ヨーロピアンな様式美はここがピークだった。
このまま良い方向へ進んでくれたらよかったが
オジーの専属ギタリストになり
それが無意識に作用したのか
欧州らしさが薄まりヘヴィになっていく。
なおManiacはマイケル・センベロのカヴァー。
2017年 8th IMMORTALS(不滅神話)
1. Hands Of Time
2. We Defy
3. Ode To Leonidas
4. Back On The Throne
5. Live And Die By The Sword
6. Wars Of Ages
7. Lady Of 1000 Sorrows
8. Immortals
9. Warriors And Saints
10. Ride Form The Ashes
JAPAN BONUS
11. Vision Of Tomorrow
12. Hands Of Time (DEMO)
13. Ode To Leonidas (DEMO)
先々月発表した新譜。
前作でドラムのジョー・ヌネズが加入。
本作では長年の顔だったアポロが脱退し
METALIUMで活動していたヘニング・バッセが加入。
それが5年もの間が空いた要因の一つだろうが
一番はガスがソロやオジー・バンドで忙しくしていたからだろう。
そもそもアポロ脱退の原因はそこであって
アポロが他の活動に魅力を感じてしまうのは
仕方がないのかもしれない。
そして久々のリリースで心機一転し
初のコンセプト・アルバムを制作。
テーマは母国ギリシャのペルシャ戦争時代。
曲名から一目瞭然のOde To Leonidasは
あらゆる視聴覚で取り上げられているテーマだが
ギリシャ生まれの彼らが表現するのとでは説得力が違う。
ただ伝え役のヘニング・バッセはドイツ人なので
私としては微妙な心境になってしまう。
しかし音楽はギリシャがテーマなので
原点に戻り欧州的な様式美が復活。
冒頭から久々のハイ・テンションで
Live And Die By The Swordのように
ドラマティックな楽曲が目立ち
メロディも心に残る印象的なものが多い。
音楽的な面ではやはりヘニング・バッセは強烈である。
また多少暑苦しさが戻ってきたが
ヘルプで参加したこともある彼の加入は
妥当であり間違いない人選だろう。