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Chopin: Etude, Op.10 について

誰もが一度は陥る過ち

 ピアノを練習をし指が動くようになると、特に若いうちは難しい曲に手を出したくなる。その曲の内なる魅力に心奪われるというわけではなく、難しいといわれているから挑戦してみたい。そんなことを経験したことはないだろうか。指が動くようになると、この病気に大抵科罹る。ここではそんな難しそうな曲の筆頭の、ショパンのエチュード1)を取り上げてみたい。
 ショパンのエチュードはOp.10のもの、Op.25のものと遺作のエチュードが3つある。とりわけOp.10のものはよく知られたメロディーを含みかつ、劇的な演奏効果が得られる曲が多く一際人気がある。ピアノ学習者にも、演奏しない音楽好きにともに人気があるのだ。

特に人気がある曲

 大人気のOp.10の中から曲芸に仕立て上げるピアニストお気に入りの曲は以下の順であろう。
  • Op.10-12:革命2)
  • Op.10-4:3)
  • Op.10-5:黒鍵4)
 上記の曲はエチュードの中ではそれ程難しくないわりに、劇的な演奏効果が得られる。ピアノをひけそうに振る舞うには持ってこいだ。Op.10-35)については聴衆からの人気は勿論ある。しかし、あまり難しく聞こえないため6)サーカスピアニストは好んでひかない。

エチュードは芸術的でも

 ショパンのエチュードは、エチュードとしないがらも極めて芸術的で、魅力的な作品である。このことは疑いない。しかし、技巧的、演奏効果的な魅力のみでこれらの曲に取り組んでしまうと、それは芸術ではなくて、一種の曲芸である。ただのサーカスに終わってしまう。サーカスも完璧であればいい7)のだが、たいていはこの曲に振り回されて、忙しい猿に終わってしまう。バッハも一通り弾けない下手くそにはまだ早いのだ。

特に難しい曲

  • Op.10-2:8)
  • Op.10-1:逃げる和音9)
 上記の二曲は非常に難しいのにもかかわらず、演奏効果はいまいちである。従って曲芸師には相手にされない。Op.10-2に至っては最も難しく最も地味である。

 という私も、ショパンのエチュードは好きなのである。ショパンのエチュードは、ピアニストのテクニックを拡張してくれる。この難しそう曲は、極めて速く指を動かすことになるので、とりあえず弾けるようになると実に痛快なのである。それだけに毒でもあるのである。曲芸師を虜にするこの芸術的な毒は一度飲んで制するしかないように思われる。
(小宮和寛)

注:
 1)エチュードは練習曲の意。
 2)左手の運指の練習曲。メロディーも伴奏も劇的。
 3)無窮動的で劇的な演奏効果。どっかのメロドラマに使われたらしい。
 4)本当に黒鍵しか弾かない、但し一カ所白鍵が入る。
 5)「別れの曲」として知られている。指の拡張の練習曲。
 6)旋律を歌わせること、手の柔軟さを得ることに重点が置かれている。
 7)ポリーニが弾くエチュードはこの曲芸を極めている。こうなると立派な芸術だ。
 8)右手の保持の為の練習曲。至難。
 9)右手の拡張の為の練習曲。非常に広い分散和音。但し、左手は殆ど動かない。
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