ざさいたま
アバウト ギャラリー コンピュータ その他 リンク集

イギリス旅行 雑感

 特別なこと専門的なことは、それ相応に長い経験を要求される。これは自明な話である。しかし、一般的なことについては、さらに複雑な問題が絡みで長い経験や努力だけでは獲得できない現実にぶつかる。機会を作り、あるいは見つけ新しいことに自分を放り出さなくてはいけない。
 どうしても英国にゆかなくてはならないことはなかった。偶々、大学時代の恩師から「今年いっぱい英国にいるのでお前も来ないか」という誘いを受けた。機会はこちらから作ることもできるが、向こうからくる機会を逃す手はない。

旅の日程

 「何処どこに行き、私はあれこれ思いました」と、旅の日程を徒に述べるのは、詰まらないことと承知している。しかし、日程を把握してもらうと合がよいので簡単に示しておく。
  • 一日目:ロンドン(音楽鑑賞)
  • 二日目:ロンドン(ロンドン塔・大英博物館・ナショナルギャラリー・音楽鑑賞)
  • 三日目:カンタベリー(聖オーガスティン修道院・カンタベリー大聖堂)、ライ
  • 四日目:イーストボーン(セブンシスターズ)
 以上のような日程だ。

兵は踰に度り難し

 世界は以前より幾分小さくなったとはいえ遠いところは実際にいってみないとわからない。一例を示そう。「英国は様々な人種で溢れている」。たしかに一面では正しい。但し、訂正しておかなくてはならないのはインド人の多さである。所謂白人以外のほとんどがインド人である。黒人や中東人や我々東洋人は極少数派だ。ロンドン到着後まず思ったことである。
 我々はインターネットやら新聞やらテレビ等様々な情報に囲まれている。否応なしに受け取り、そのまま信じ考えもせず、それらが描くステレオタイプを知らず知らずすり込まれる。我々に伝わる情報は校正された情報であり、一つ一つの事柄には誤りはない。が、全体として大いに間違っていることもある。そのようなこともふまえ、いくつか具体的な場所を取り上げ旅の話に移ってゆきたい。

大英博物館讃

 一度そこに入ると建物の規模に驚嘆し、展示物の存在感に圧倒されるだろう。複製ではない本物がそこに一堂に会いしているからだ。その歴史的価値の高いこと数の多いこと。一日では到底すべてを見ることはできまい。歴史的価値が非常に高いものであっても、ガラスケース無しで展示されているのだ。日本の博物館とはスタンスが違う。
 ご承知の通り展示物の多くが植民地から持ち出されたものだ。社会通念上の認識では「嘗て植民地とした国々から文化的な遺産を略奪し、それを展示することは悪趣味であり非難に値する」ということになっている。私はそのようなネガティブな面を強調するつもりは、いまでは毛頭ない。勿論、物珍しさで持ち出されたことは否定できないが、持ち出された当時、現地ではこのようなものに対する価値が十分に理解されていたとは考えにくい。翻ってみると持ち出されたことによって一部は学術的な研究が行なわれ、その価値が認識されたといえる。
 また、持ち出されたものが体系的に整理され、多くの人々の共有財産として無料で展示される意義は計り知れない。一般的な視点に立っていた私であるが、現地に来て考えを新たにした。

絵画は本物

 誤解を招くといけないので、あらかじめここに明言しておく。
 印刷物によって公衆に広く知識が伝播する意義は否定しない。その普及により我々の社会に知識が行き渡り、発展を加速させた。
 だが、ナショナルギャラリーでは贋物でないものが触れる距離で(勿論触れてはいけないが)ガラスケース無しに、展示されているのである。複製物では再現できないタッチの妙味をじっくり観察することができる。展示されている絵の多くが世界的な名画であり、その精巧さ、その存在感に圧倒されてしまう。気になる部分は目を近づけて見ることができるし、ありのままの全体を眺めることもできる。
 英国の作家ではないが、ラファエロ作『玉座の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、バーリの聖ニコラウス』『キリストの磔刑と二天使』は是非押さえておきたい。
 ここも大英博物館につづいて無料である。

環境あるいは文化

 聖オーガスティン修道院跡・カンタベリー大聖堂等の世界遺産も実によく保護されていたが、セブンシスターズは誠に優れた景観で美しい。英国の環境保護についての関心の高さが伺われる。
 さらに、付随する周りの景観も実に美しい状態のまま残され、羊や牛の放牧も、工業的酪農経営が一般である我が国とは対照的であり、文化的先進国である英国を象徴しているかのようである。
 そんな景色を満喫したあと、近くの売店で軽食を取った。そこでのゴミ箱に唖然とするのである。可燃・不燃かまわずゴミ箱に捨てられている。しかも汚い。美しい風景とは対照的である。
 調べてみると、意外なことに英国ではゴミの分別を、さして行なっていない。不燃・可燃はすべてまとめて一般ゴミとして捨てられる。その後ロンドン市内を見て納得した。環境への配慮とはほど遠いといわざるを得ない。どうも報道されていることとは違い、我が国のほうが環境先進国であるようだ。それにしてもセブンシスターズは誠に美しい。

自由な旅

 おきまりのパックツアーでは「スゴーイ?・ワーキレイ?」といって終わってしまうことが関の山である。自分勝手に動ける旅は日常生活にない体験をすることになる。目的地にたどり着くのにも一苦労(事実恩師と私は旅行ガイドに書いてあった地図の間違いのため途中何度も迷った)である。それが現地の人に目的地への行き方を聞くという貴重な経験にもつながった。旅行を通して徐々に私は変わっていった。旅行は気ままに行動することに限る。
(小宮和寛)
  戻る 次へ
saitama web-framework (c) 2007-2012 thesaitama. All Rights Reserved.