ざさいたま
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第二章 儀式の図面的解釈

はじめに

 作成した内裏図を元に平安時代の儀式の様子を再現し解釈するためには数ある年中行事からどれをとりあげるか、内裏図を活用できかつ貴族の思考や儀礼の意義が摑めるという条件に適う必要がある。そこで、共に十二月行われる儀式であるが清凉殿における御仏名・紫宸殿おける追儺を取り扱うことにした。

第一節 儀式書

 平安貴族にとって政治は儀式を執り行うことであり儀式をそつなくこなすことが求められた。貴族は陰陽寮が発行する具注暦に儀式の様子を書き込み後の儀式に備えた。平安初期の儀式書である『儀式』『内裏式』は公的に編纂されたものであったが、平安中期以後になると貴族が私的に具中歴の内容をまとめ儀式書を編纂するようになる。源高明23)の『西宮記』、藤原公任24)の『北山抄』、大江匡房25)の『江家次第』が有名である。
 『西宮記』は平安中期の成立で三種類以上の異本が存在する。『西宮記』は内容は大きく恒例と臨時に分かれており、御仏名・追儺が記載されている部分は恒例の十二月条である。
 『北山抄』は平安盛期の成立で藤原道長の命により女婿藤原教通のために撰した。『西宮記』と比較して読むと明らかな書承関係があり、重要な事項を婿教通のために撰述したものであることがわかる。
 『江家次第』は平安末期の成立で藤原師通の委嘱で有職故実に精通していた大江匡房が撰述した。『西宮記』の記事や『北山抄』を総合した内容になっており、平安時代有職故実の最高峰といってもよい。『北山抄』などでは問題にされていない部分も記してあるのみならず、要領よくまとめられている。
 『西宮記』『北山抄』『江家次第』は新訂増補『故実叢書』に納められているものを取り扱うことにした。殊に『江家次第』については返り点がふられているため、私のような初学者にも比較的読みやすく儀式の全体像を摑むのにも有用である。尚、『神道大系』にも『西宮記』『北山抄』『江家次第』は同様に収められており返り点が『江家次第』のみならず『西宮記』『北山抄』にもふられている。
 三有職書の書承関係は下のとおりである。
(書承関係)
 『雲図抄』は平安最末期の成立で主要な儀式の図面が書き込まれており、調度等の配置なども詳細に示されていることが多く、儀式解釈には有用な書物である26)。図面の一部は判読しがたい部分もあるが、前述した三有職書から見当がつくことが多い。
「御仏名」だけを扱う場合は以上のことで足りるのだが「追儺」を扱う場合は些か問題がある。『雲図抄』では追儺の項目があるものの図面が載っていない。また、追儺の儀礼は時代的な変遷があるために補足的に平安前期に編纂された『儀式』を活用しなければならない。
 『儀式』とは、平安前期頃に作成された選者不明の儀式書である。儀式と題するものには『弘仁儀式』『貞観儀式』『延喜儀式』があり『弘仁儀式』は近年の研究により存在しないことがわかており、一般的に『貞観儀式』を『儀式』と呼ぶ。『儀式』は三有職書が書かれた時代より以前に編纂されたものであるが追儺の呪文を伝えているなど三有職所には見られない項目もあり内容自体が淡泊なため追儺の全体像を復元する上で有用な資料である。
 以上のことから正確さを期すために『西宮記』『北山抄』『江家次第』を精読し、それぞれの儀式の手順を補完しあい一つの儀式次第表を作成した。『江家次第』を中心とし『西宮記』や『北山抄』で異説がある場合はその異説も示し『江家次第』に無い項目であっても検討の結果儀式の進行上自然であり必要あらばその項目を追加した。『雲図抄』は図面的に活用するにとどめた。

第二節 御仏名

第三節 追儺

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