ざさいたま
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求む!使える電子書籍デバイス

竜頭蛇尾に終わるのか

 一時期注目されたにも拘わらず、いまいち電子書籍の普及率は芳しくない。読書好きが使っていることはまず無く、せいぜい漫画好きのオタクか、新しもの好きのミーハーが飛びついたに過ぎない。読書家は電子書籍なんのその、依然として紙の本を見ている。
 コンテンツが悪いのかデバイスが悪いのか、ソフトが悪いのかハードが悪いのか。これは断言できる、詰まるところどちらも悪い。電子書籍で販売されているコンテンツは紙の本に比べて圧倒的に少ない。また、刊行されるコンテンツは、どちらかというとカウンターカルチャー的なものが多く、読書家には到底受け入れられない。質・量ともに劣っている。
 ハードウェアについても紙の本に劣る。利点は場所を取らないぐらいではないだろうか。そうはいう私も、電子書籍にはまだデバイスを購入していないにしろ興味はある。紙でなくてもいい本もあるのだ。実用書1)等は紙としてなくても一向に構わない。

ハードウェアの改良を

 ソフトウェアにあたるコンテンツに関しては、容易に解決できるものではない。少なくともハードが使える水準に達していないと、良質なコンテンツは出揃わないだろう。インフラが整って初めて町が繁栄するように、ハード無しではコンテンツは育たない。コンテンツの質のみを高めようと産業界が努力しただけでは、無理がある。素晴らしいコンテンツは、別の次元にあるのだから。
 そうはいうものの産業界の力は大きい。産業の隆盛なくしては文化が育たないのも事実である。そこでインフラの整備、換言するとハードの改良について意見を述べてみたい。

簡単に壊れるのは

 紙の本は落下させたとしても、機能不全により読めなくなることはない。束が解けたり、ページが破れるようなことはない。電子書籍デバイスはそうはいかない。落下させると壊れる。読者は脆いデバイスを落とさないように注意を払いながら、読書をしなくてはならない。そうなると、読書どころではなくデバイスをケアするのに忙しくなり本末転倒だ。

動作が遅い

 紙の本は本棚から取り出してページをめくると即座に利用できる。
 電子書籍は表示デバイス本体を保護ケースより取り出して、電源を投入する。そして電池の残量が少ない場合は充電しなくてはならない。運良く充電されていると、読むためのソフトウェアを起動させ、起動が完了するまでまたなくてはならない。
 個々の製品に対し批判をすることは差し控えたいが、有名企業があまりにも酷い製品を出したため実名で批判して改良を促したい。先日シャープの「ガラパゴス」なる電子書籍デバイスを触れる機会を得た。そのソフトウェアの起動が耐え難く遅い。ガラパゴスゾウガメ2)の背に乗って行進するが如しである。ネーミングセンスも悪いが、ソフトウェアのできはもっと悪い。これが日本の技術力の水準なのか。もはや日本は技術立国でないのか。
 ともかくも、電子書籍デバイスはストレスが溜まる。使い物にならないのだ。

液晶画面は耐え難い

 液晶画面は映像を鑑賞したり、パソコンの表示デバイスとしては優れている。しかし、どうも本を読んだりするようなデバイスではない。バックライトの光を長時間当てられるのは宜しくない。その点を鑑みると、電子ペーパー3)に軍配が上がる。
 この電子ペーパーはなかなかの優れものだ。一つ欠点がある。液晶画面に比べて表示の更新にかかる時間が長いのだ。表示の更新をするのに遅いことは耐え難い。
 読書という行為は通常、ページを一枚一枚めくる。しかし、前のページを見たいこともあり、読書をするさいには、複数のページをいったり来たりすることが往々にしてある。ページの更新速度が遅いことは、このようなペラペラ見るという動作が上手く出来ないことを意味する。

複数見れない

 小説ならともかく、研究書的なものを読み進めると、違う本も同時に開きたいことがよくある。電子書籍のマルチタスク的な機能を使って他の本を開くということも可能なのだろうが、同時に見たいという場面が多くある。それも、複数冊を同時に開いて置いて検討をするような場面がくると電子書籍の枠組みでは対応できない。
 複数のデバイスを持てばいいのではという意見もあろう。しかし、販売されている電子書籍コンテンツにはDRMと呼ばれるプロテクトがかかっており、1デバイス1コンテンツによる利用が原則である。他のデバイスで他のコンテンツを開く為には、ライセンスを購入しなくてはいけいない。1コンテンツ1ユーザーによるサービスもあるが、全てのコンテンツがそうなっているわけではない。またデータの形式が違う場合には、それぞれ別のプロテクトがかかっており、紙の本ほど自由に書籍を閲覧することができないのだ。課金の枠組みが優先されており、読者の利便性は全く考慮されていない。つまり紙の本のような利用は出来ないのだ。

実用的なデバイスの開発を

 上記の問題点の解決に向けては、技術的なハードルの高さや、これまでの商業利権など様々な難問が立ちはだかっている。業者と読者の利害関係の解決については難しいに違いない。しかし、上記のハードウェアとしての問題はSFのような突飛な着想ではなく、技術的な蓄積を漸増させれば解決できるに違いない。過去にSF映画の突飛の発想は、実現出来なかったこともあったが、これまでに実現された例が多くある。電子書籍のデバイスの問題は突飛な発想ではない。
 技術立国日本と自信を持っていえるように、これらの問題を真摯に受けとめ日本の企業は努力しなくてはならない。
(小宮和寛)

注:
 1)私の場合はプログラム開発関係の実用書が該当する。実際のプログラムについて解説されている本は、書籍としてあるよりもデータとしてあったほうが、すぐに検索でき却って利便性が高そうである。しかし、論理的な著述の場合は紙として持っておきたい。
 2)この生物について詳しいことはわからない。「ガラパゴス」なだけに遅い動物の代名詞である「カメ」をもって来たにすぎない。
 3)表示にバックライトを必要としないディスプレイ。
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