ざさいたま
アバウト ギャラリー コンピュータ その他 リンク集

自炊についての考察

自炊とは

 このコンテンツを検索エンジンで辿って来た方には説明不要に違いないが、念のためその語義を明らかにしてみよう。電子書籍ではコンテンツは自身でコンテンツを創らない限り、コンテンツホルダー1)から提供される。それに対して、エンドユーザーがスキャナ等を使い、自分でデータを作製することをいう。自分でデータを吸い出す(コンバートする)、「自吸」が転じて「自炊」となった。
 吸い出したデータは、当然デジタル信号となる。デジタル信号の複製は、実際に物が複製される訳ではない。媒体を通してビット配列が複製されるだけである。物が複製されることなくして、モノが複製される。複製は極めて容易だ。したがってコンテンツホルダーにあたる、出版社ないしそれに付随する産業に従事する者はこの「自炊」を非常に恐れている。

自炊の実際

 実際にこの自炊をやってみるとかなり手間がかかり、効率が良くないことがわかる。スキャン行う場合には、本を裁断しなくてはならない。裁断を行わないと、良好なスキャン品質が得られないからだ。つぎにスキャナに頁を一枚一枚セットし、一枚一枚スキャンをしなくてはならない。さらに画質を上げるため、スキャン中についたほこりを取る等の調整を行い、データを適切なフォーマットに変換しなくてはならない。データを作成することは極めて骨が折れ現実的でない。データはデジタルであるため複製が容易であるとしても、このデータを他人に複製したり、譲渡することは著作権を侵犯するため実際問題出来ない。せいぜい、自身の蔵書の整理の手段が関の山である。敢えてして法を犯し、データを提供するようなことは普通はしないだろう。
 自炊により作成されたデータは品質も悪く、コンテンツホルダーが提供するデータのほうがよぽどいい。自炊はユーザーにとっても割に合わない。また、コンテンツホルダーがそれ程恐れるようなものでもない。自炊されたデータの価値であるが。それ程高いものではない。実際に自炊したデータを重宝して使っていることは少ないのではないだろうか。大抵自炊したデータは見返すことは少ない。自炊ユーザーは、データを利用することよりも、データを蓄積する作業が重要のようである。なにもやっていないとコンピュータを使っている気がしないのだろう。

自炊に励むなら

 研究者によっては、自炊をすることによってより多くの情報を持ち歩くことができ、研究が捗るど豪語する者もいる。しかし、自炊されたデータと図書館にある蔵書ではどちらが大きいだろうか。情報が欲しい場合は図書館に行けばよい。また人間は常に多くの情報を持ち歩くからとよって、より多くの情報を正確に把握するのではない。得られた情報を再構成して初めて、自分の情報となる。本に書かれている情報は読んで初めて情報となるからだ。スキャンをしただけでは自分の情報にはならない。自炊という行為は読書家が行うようなものではなく、その道のプロ2)が行う手のものである。研究者の仕事ではない。
 確かに自炊をすることによって本棚のスペースは小さく済む。しかし、自炊が骨が折れるものである以上、それに費やす労力と時間を考えると非常に不経済だ。自炊をするくらいなら、同じ時間を使ってより多くの情報を手に入れ、それを再構成する時間として使った方が有意義に違いない。自炊に励むか、読書に励むか、悩むまでもないだろう。
(小宮和寛)

注:
 1)コンテンツに対する権利を持っている者の意。出版社や著者等がこれに該当する。
 2)専門の業者のこと。
  戻る
saitama web-framework (c) 2007-2012 thesaitama. All Rights Reserved.