ざさいたま
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電子書籍その現状と活用法

利害関係が無い私から

 電子書籍、iPadそんな言葉がもてはやされるようになって一年を迎える。すでにこれらの商品は研究者の実験段階のおもちゃではなく、マスプロダクトとして家電量販店に並んでいる。誰でも入手をしようとしさえすれば、簡単に入手できるのである。店頭に並んでいる製品が本当に書籍といえるものならば、すぐにでも普及して紙書籍を駆逐してもいいのである。
 どうも現状はそのようにはなっていない。現段階の電子書籍は書籍と呼ぶにはほど遠く、既存の紙媒体の本を駆逐するには至っていない。電子書籍側に問題があるのだ。

紙の書籍との違い

 問題点を検討するために、欠点を書き出してみる。長所はあることは十分承知であるが、欠点が多すぎると長所だけでは今までのものを置換することはできないだろう。

問題点

  • 利用するのに時間がかかる(電子機器であるため特別な準備が必要)、コンテンツを入手するためには特別な手段が必要
  • ページをめくるのに時間がかかり、紙の本のように大ざっぱに開くことができない
  • 文字の視認性が極めて悪く、発色などの点においても紙媒体に遠く及ばない
  • バックライトの光が必要である1)
  • コンテンツにはDRM2)と呼ばれるプロテクトが施されており、紙の本のようにコピーできない
  • コンテンツの様式が制限される3)
  • 電気が必要であり、電気が利用出来ない場所ではバッテリーか切れてしまうと全く使えない
 おおよそ書籍と呼ぶような代物でないことが判る。家庭用ゲーム機のゲームソフトと変わりない。
 世間の読書家はどう考えているのだろうか。私もそれなりに本を読むほうであるが、管見の限りでは読書家といえるような人で、電子書籍の虜にされている人を見たことがない。既に上記のような問題を認識しており、書籍に代わり得るようなテクノロジで無いことは明白だからだ。読解するのに様々な資料を参照することが必要な書籍は、一つの端末だけでは不十分であり、複数の端末が必要になってしまい紙の本に対するメリットが無い。思索的な読み方をする場合、数十ページ戻ったりすることは当たり前であり、電子書籍の付箋機能を使ったとしても不十分である。一つのページを見ながら、別のページを見るという読み方も紙の媒体では可能だからである。虜になっているのは産業界、コンピュータオタク等であり、書籍のユーザとは到底いえない。

肯定的にみる

 先ほどは電子書籍を否定的に扱った。その電子書籍も、全く利用する価値がないとは言い切れない。それは電子書籍だけにある検索性というメリットである。検索性が求められるような書籍の場合に限り電子書籍は市場に受けいられて、既存の紙媒体に置き換わることは間違い無い。産業として成り立ちそうなものを列挙しよう。

メリットがあるもの

  • 辞書、辞典類
  • 法令集、判例集
  • 電話帳、住所録
  • 旅行ガイドブック
  • 鉄道等の時刻表
  • 目録
  • 説明書、マニュアル
 上記のようなものは間違い無く、既存の紙媒体の市場を駆逐しないまでも浸食すると考えられる。これらのものは紙媒体としてのメリットが無いとはいわないまでも、殆ど無い。電子書籍はどんなに厚い本でも場所を取らない、且つ特定の語句を見付けるにも正確で時間を必要としないからだ。特別に旅行ガイドブックをあげた。極めて限定した想定であるが、ヨーロッパ等陸続きの地理を持つ場合、複数の国を回る旅行になることが多い。そのような場合電子書籍は紙の本よりも有り難い。代用品ではなく、改良品として電子書籍をとらえることができる。思索的な本で無い限り、電子書籍も活用範囲は十分にあるのである。
 とはいうもののこれらのメリットをあげても、既存のデバイスは全て未熟であり、上記のような利用方法をするのにも不都合がある。産業界には大いに頑張ってもらって、ユーザである我々の期待に応えてもらいたい。
(小宮和寛)

注:
 1)バックライトを用いない電子ペーパーもあるが、駆動に耐え難い時間がかかる。
 2)Deigital Rights Managementの略。産業界の権益のためにあるプロテクト。
 3)リフロー型といって表示するデバイスによって字詰めを変更することができるものがあるが、これは制作者の意図によるものではなく、コンテンツの様式が制限されるとに代わりない。
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